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2011年04月22日(金)

4 愛情  【夜空の下】

ちょっと話が長くなりそうなので、前編・後編でわけてみた。
話がちょうどいい具合に
「ちょwwwおまwwwこんなとこで切ったら俺、話が気になってねれねーよ!!」
レベル?

そこまで、さとうがしフリークがいるかはまた別問題ですが(滝汗)

目次
1 序章 【会議】
      【白い箱】
      【脱走】

2 平穏 【決断】
      【三神兵】
      【道化】
      【初恋】
      【幸せは崩壊の足音】

3 崩落 【亀裂】
      【閉塞】
      【楼閣】
      【反撃】
      【犠牲】

4 愛情 【恋敵】
      【叱咤】
      【ありがとう】

【More・・・】

舞と翔の全快を祝した宴も終り、空には星が瞬きだした。皆は、それぞれの部屋・家に戻って行った。


「翔ちゃんも舞ちゃんも、ここに来てから変わったね」
レイラは、喫茶店のオープンスペースの椅子に座り空を見上げ、隣に座っているエリックに語りかけた。エリックはレイラの語り掛けに少し首を傾げ、
「ん~…。 変わったって言うより、『成長した』って感じかな?今まで、舞達は閉塞された環境から、『自由』を手に入れた。色々なものに触れ、出会い、感じ取っていったんだ。   環境は違えど、レイラだって同じだろ?まぁ色々不自由な思いもさせちまってるかもしれないけどさ」
と頭をボリボリと、かきながら最後は申し訳なさそうに答えた。レイラはその言葉に頷いた。
「うーん。そうね。正直不自由を感じてないって言ったら嘘になるけど、苦しいとか辛いって思ったことはないわね~。…だって…エリックと一緒だもの」
そう言ってレイラは、エリックに寄り添い、エリックの腕に自分の腕を絡めた。エリックは、少し頬を赤らめ照れながらも、レイラの髪を優しく撫で、こう言った。
「いや~。それにしても翔ちゃんが俺に惚れてたとはな~。俺はてっきりアレンとラブラブなのかと…」
「んもぅ~『愛の伝導師』って自分で言ってるのに、自分に向けられる好意にはホント鈍感なんだから~」
レイラは、そう言いエリックの頭を軽く小突いて、言葉を続けた。
「でも、翔ちゃんとアレン君の関係がいいものになるといいよね。」
「まぁ、『お姉様』に認められる程の男になれれば問題はないんだけどな」
エリックは、そう言って天を仰ぎ星を眺めた。


「アレン君!!もしよろしかったら、夜一緒にお話ししませんか?」

翔の唐突な誘いにアレンは、二つ返事で承諾したもののその後は、気が気でなかった。

夜にお誘い?夜のデート?いやいやそれはいくらなんでも…実は、あれは翔さんに扮した舞さんで、あの平手打ちの仕返し?あり得る怖えぇ~。いや、万が一ってことも…。そうっす前向きに考えるっす。

色々な期待や不安が頭の中を交錯する。体中の穴という穴から液体がこぼれていた。

「あー、色々ごちゃごちゃ考えるのはやめるっす!! 」
アレンは、そう自分に言い聞かせ思いを巡らすのをやめ、待ち合わせの場所の静寂な、夜の公園の闇に身を委ねた。暫くすると、

「うわぁ~。お待たせしてすいませ~ん。」
と、ぱたぱたと音を立ててかけ寄る翔の声が聞こえてきた。翔の声、足音、姿がアレンに近づくにつれアレンの鼓動はどくどくと一気に高鳴りはじめた。
「ごめんなさい~。…外寒かったですよね?」
翔は、そういうとアレンの手をぎゅうっと握った。アレンは、緊張の余り身体が熱くて熱くて仕方がなかったが、ぎゅっと握りしめる翔の掌の体温にゾクゾクと背筋に電撃が走るような快感も感じていた。
「おっ、おれは…ち、ちょう。大丈夫っす。」
緊張のあまり不自然な喋りをするアレンの様子に全く気がつかない翔は、
「うわぁ~アレン君体温高いんですねぇ。あったかいです。これじゃぁ立場逆になってしまいますね。でも、あったか~い。」
と言って翔は、自分の頬にアレンの手のひらをぴたりとつけ暖を取り始めた。翔のこの何気ない行為に、このままでは自分自身が抑えられなくなってしまう!と思ったアレンは、
「あー、翔さん。おっ、俺に話があるんですよね?」
と話をそらした。翔は、自分の頬にあてたアレンの手をほどき慌てて頭を下げた。
「あっ、ごめんなさい…。こんな時間に呼び出して…。姉さんがそばにいるとなんだか誤解しちゃうかな~なんて…今日ならきっと姉さんもぐっすり眠れるだろうと思って…。ちゃんと姉さんが眠ったのを見てからこっちにきたんですけど…遅くなってしまいました。お待たせしちゃってごめんなさい。」
「えっ、いやお姉さんが、ちゃんと眠れてよかったっすね。」
姉の舞が一緒にいると不都合?やはりこれは愛の告白なのだろうか?過剰な期待や不安を翔に悟られぬようアレンは平静を装った。すると翔からアレンが予想もしなかった言葉を口にした。
「アレン君…本当にありがとうございます。」
そう言って翔は、深々と頭を下げた。アレンには一瞬何のことがわからなかったが、話の流れから恐らく舞の件のことだろうと納得した。
「あ~『お話』ってそのことっすか~。そんなわざわざ改めて、言われると照れるっす。でも、舞さんひっぱたいちゃったっす。咄嗟の事とはいえ、女の子に手を上げちゃて…」
「アレン君は優しいですね」
アレンの謝罪に対する翔のその一言が再び、どくんとアレンの鼓動をはねあげさせた。いや、この言葉に深い意味等ないとは思っているが躰は素直に反応してしまう。そんなアレンの様子に気づかない翔は、そのまま言葉を続ける。
「アレン君は、私達のこといつも気にかけてくれてました。エリックさんや小夏先生みたいに直接何かっていうことはなかったけど、アレン君と私達は年も近いみたいだし、そばにいてくれるだけでも心強かったです。」
おそらく、翔は姉以外の年の近い人物に出会えたことが嬉しくて、そう言ったのだろう。アレンもそう考えるべきだと言い聞かせたが翔の思わせ振りにも聞こえるその言葉がアレンの心を激しく揺すり、抑えきれなくなった気持ちが翔の肩を力強く引き寄せ抱き締めた。
「もちろん、俺も同じ位の年の仲間が2人も増えて嬉しいっす!!でもっそれだけじゃないんっす」
さっきまで、あんなに激しくアレンの胸を叩き続けた鼓動が不思議と落ち着いている。今なら自分の本当の気持ちを真っ直ぐに伝えられる。今を逃したら、もうこんなチャンスはない。とアレンは思った。

「俺、翔さんのことが大好きっす。」

テーマ : 自作小説 - ジャンル : 小説・文学

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